どうも、複業農家の六角人です。
今年から農業やりながらフリーランス的な働き方もしています。
3月18日〜4月12日まで鹿児島県頴娃町で行われた田舎フリーランス養成講座(略して「いなフリ)」という移住型体験プログラムに参加してきました!
結論からいうと
「受講して本当によかった!」
ボク自身が体験したことや感じがことをまとめたので、いなフリ受けようかどうか迷っている方は参考にしていただければと思います。
7000字以上あるので途中の紆余曲折なんか読みたくねーよって方は目次で「まとめ」まで飛んでください。
もくじ
いなフリ参加を決めるまで
いなフリに参加を決めたのは突然でした。
去年の12月で約10年間続けてきた会社員を辞めて、フリーランスというか、フリーな人に。
農業をやることは決まっていたんですけど4月まではやることが少ない。
なので、年明けからは色んなところにいて、たくさんの人と話して、自分なりのフリーランスの形を模索していました。
2月から本格的に大阪に拠点を移した後は、拠点作りや出張料理など少しずつ活動も始めてみたりして。
で、思ったのが
圧倒的に稼げるスキルが足りない。
というより
稼ぎ方がよう分からん!
会社員生活に馴染みすぎて、イマイチ自分の力で稼ぐという感覚が掴めていなかったんです。
そうだ、いなフリへ行こう!
このままいくとなんかヤバそう。
最低限生きていける形は作れるけど、それ以上の広がりがイメージできない、、、
特にWEB系のスキルがもっと欲しい、、、
そこでひらいめいたのが
「そうか、いなフリ受ければええんや!」
いなフリのことは前から知っていたし、参加者や講師の方たちとも交流がありました。
評判や口コミを調べるまでもなく、具体的な内容はなんとなくわかっているつもりでした。
だから考えれば考えるほど、今自分が学びたいことといなフリが提供してくれることは一致している気がしてきて。
しかも、長期で海外に行く予定が諸々の事情で白紙になっていたので、3月のスケジュールがポッカリ空いていたのです。
これはもう行くしかない!
会場はどこにする?
参加する意思は固まったので次は会場選びです。
3月のいなフリは千葉県の金谷やいすみ、山梨県南部などフリーランスの聖地と呼ばれるような場所も開催地になっていました。
しかしボクが選んだのは鹿児島県頴娃町。
今まで行ったこともない場所だし、なんなら町名の漢字が読めないし、運営メンバーも誰1人知らない人達ばかりだし。
選んだ理由はいくつかあって
- 0から修行するのでまっさらの環境でやりたかった
- 統括の方が地方を拠点に宿運営などで起業されている方だった
- 料理人枠が空いていた
- 講師陣に気になる方がいた
- 鹿児島の農家との交流ができた
- 以前から鹿児島へ行ってみたいと思っていた
- 焼酎飲み放題という噂
WEBの技術だけを学ぶなら他の場所でもできますが、ボクにとっては地域での活動も同時に体験できるという部分が大きかったです。
面接も終えて、いよいよ準備万端。
やりたいことも明確になっているし、現時点でやれることもある。
これで1ヶ月集中すればめっちゃ進化できるちゃうの?
なんなら、結構自信ありました。
しかし、そんなもんは1週目で打ち砕かれることになったのです。
いざ鹿児島へ!いなフリ開始!
いなフリを始めるにあたってボクが決めた目標がこちら。
- web案件10万円(ライティング、動画編集)
- 六角飯インスタ1日1回
- Twitterいなフリ発信
- 泉佐野地域メディア立ち上げ
- 個人ブログ強化
終わった今から見てみるとかなりざっくりしてるなって印象。
自分では考えているつもりでも、細かいところはふわっとしてたんやろなぁ。
ダイジェストで振り返ってみると
- 1週目「フリーランスの現実を知る」
- 2週目「ブログ書きながら動画編集」
- 3週目「動画編集が軌道に乗り始める」
- 4週目「自分なりの稼ぎ方の確立と事業計画の大幅転換」
当初の予想とまったく違って、紆余曲折の大どんでん返しな展開となりました。
1週目「フリーランスの現実を知る」
- web案件2万円(ライティング、動画編集)
- 六角飯インスタ強化
- Twitterいなフリでの学びをリアルタイム発信
- ブログの方向性決める
1週目の講義は
- そもそもフリーランスの生活とは?
- フリーランスの仕事の取り方
- クライアントとの付き合い方
など、基本的なことが中心でした。
もちろん講師陣は全員現役フリーランスで結果を出しまくっている方々なので、めちゃくちゃ参考になりました。
特に
「自分が仕事を納品したところから、クライアントの仕事は始まる。クライアントがどういうことを実現したいかまで考えて、それが形になるまで責任を持つ」
この言葉は案件提案をしていくにあたってのボクの基本的な考え方になりました。
案件受注に手こずる
まずは1案件獲得を目指し、提案しまくるもまったく反応なし。
返信すら返ってこない。
ちなみに、初めて返信のあった案件は「10000字書いて2000円」みたいな内容だったので、辞退。
初めてのことでどうしていいか迷ったけど、講師の方々に聞いたら全会一致で「辞めとけ!」でした。
こういう時に経験豊富な方からアドバイスをもらえるのはホンマありがたいことです。
結局、初めの5日間で1件も案件は取れませんでした。
つまり収益0円。
毎日提案ばかりで、仕事をすることすらできていない。
ライティングだけでは弱いと考え、動画編集の案件にも提案しました。
昔、映像制作の会社で働いていた時に身につけた動画編集スキルがこんなところで役に立つとは。
それでも反応は変わらず。
軽く絶望しました。
いくら丁寧に提案しても実績ないと受注につながらないのでは?と考えたボクは、実績を無理やりひねり出すことにしました。
それがこちら!
授業の一環として行われる自分史発表の発表を撮影して編集したものです。
他にやることもなかったのでほぼ1日かけて今できるすべてをこの動画に突っ込みました。
それを元に再度提案。
すると1件のクライアントから返信が。
条件交渉の末、ついに契約に至りました。
「動画テロップ打ち1本1000円」
正直、相場から考えるとかなり安めではあります。
ですが、1週間で収益0から1000円になったことは収益以上の安心感がありました。
小さくても結果が出たことで、この作戦はいけるかも、という手応えを得たのでした。
2週目「ブログ書きながら動画編集」
【フロー】
- web案件3万円(ライティング、動画編集)
【ストック】
- 個人ブログ強化
- Twitterいなフリでの学びをリアルタイム発信
2週目から「フロー」と「ストック」という考え方を取り入れるようにしました。
「フロー」とは、1回毎の取引で収入を上げるスタイル。
すぐに収入につながりやすいが、継続性がない。
「ストック」とは、契約や会員を増やすことで継続的に収入を得るスタイル。
収入が安定するまでに時間がかかる。
自分が今やっているのはどちらに当てはまるかを考えることで、作業の優先順位をつけやすくなります。
動画編集でまとまった作業量を確保
フローのメインは動画編集。
週に3本仕上げるという契約だったのでさっそく取りかかってはみたものの。
予想以上にめっちゃくちゃ時間がかかる。
10分のテロップ入れに5時間とか。
1本1000円だから時給200円以下。
おおお、、、
フリーランスは自分の仕事を時給に換算して考えるのが鉄則ですが、これはなかなかキツイ。
実績を積むためとはいえ、このままでは果てしなき低賃金労働になってしまいそう。
そこでMacとiPadを連動させてデュアルモニター設備を構築。
これにより作業時間は半分近くになったのでした。
使うかどうか分からんかったけど、持ってきてよかった、、、
個人ブログをリニューアル
ストックの方は個人ブログの強化。
ほったらかしになっていたものをテコ入れすることにしました。
- サーチコンソールを見ながらのリライト
- キーワード選定
- 新記事執筆
今までなんとなく書いてきたブログを戦略的にリニューアル。
こればっかりは結果が出るのに時間がかかるので、いなフリ中にどうこうなるわけじゃないけれど、やらない限り一生変わらない。
それに、ブログやアフィリエイトで成果を出している方がそばにいるんだからどんどん書いて、フィードバックをもらった方がいいに決まっている。
とにかく書くしかない!
新たなチャレンジとして他のみんなにも協力してもらって、松阪牛の記事を作りました。
結果はどうなるかまだわからんけど、普通に楽しかったです。
3月30〜31日【CCラボ】高知県嶺北・徳島県神山町ツアー
講義が休みの日を利用して、元気な地方として有名な高知県の嶺北エリアと徳島県の神山町を視察しに行きました。
片道10時間を車とフェリーでぶっ飛ばす!
体力的にはけっこうキツかったけどめちゃくちゃ発見がありました。
ここでの体験がのちの事業計画にも影響を与えることになります。
詳細はこちらの記事にまとめてあるので、よかったらどうぞ。
3週目「動画編集が軌道に乗り始める」
【フロー】
- web案件単価アップ(ライティング、動画編集)
【ストック】
- 個人ブログリライト10本/1日・新規記事1本/2日
- 地域メディア立ち上げ
動画編集継続案件が成長し始める
2週目に提案していた案件に返信があり「動画編集1本3000円」の案件が決まりました。
一気に単価が3倍に!
しかも、クライアントが前から気になっていた方だったので、どうしても取りたかった案件でした。
提案文に気持ちを込めまくったのがよかったのだと思います。
予定を変更して、動画制作に全力を投下。
1週間の納期を1日でやってやる気を猛アピールしました。
相手の反応もすごくよくて、すぐに次の案件もという話になりました。
なんと「オープニングとエンディング動画合わせて10000円」
今までの仕事と違うところは、単純に文字を打ち込むだけでなく、イメージの提案や映像の制作まですべてを任せてもらったところ。
時間は10秒ずつと短いですが、その分密度の濃い編集を求められます。
クライアントの希望を汲み取って形にしていく作業は難しい分やりがいもありました。
仕事してるなぁって感じ!
ライティングのスタイルを身につける
動画編集が一気に立て込んだこともあって地域メディアが遅れがちに。
巻き返すべくサイト設計を開始。
同時に取材ライターとしての技術を磨くため、鹿児島の農家を取材しました。
取材対象の思いと、自分の持っているものを掛け合わせたいい記事になったんじゃないかと思っています。
実際にやってみたことで、ボクには取材ライターというスタイルが合っているのではと感じました。
自分が体験したことならいくらでも記事に起こせるし、やっていてすごく楽しい。
もちろんウソはかけないので事実確認をしたりはしますが、細かいデータをリサーチして記事を書くよりよっぽどやれる。
ライティングといっても様々なやり方があるわけで。
自分に向いているスタイルを見つけられたのは大きな収穫でした。
4週目「自分なりの稼ぎ方の確立と事業計画の大幅転換」
【フロー】
- web案件単価アップ(ライティング、動画編集)
【ストック】
- 個人ブログリライト10本/1日
- 地域メディア開始
- 事業計画完成
単価アップ作戦成功!
動画制作はその後も順調に成長を続け、最終的に受注額が5万円を超えました。
交渉中の案件もあり、このまま伸ばしていけそうです。
途中から売上額より単価アップを狙った作戦がうまくハマりました。
10分1000円で始まったものが、1ヶ月で5000円に。
実績を重ねていくことで少しずつ返信率も上がってきています。
なんにしても、大きな収入の柱としての道筋はかなり見えました。
今後はフローからストックの流れにじわじわと持っていければさらに安定してくるはず。
地域メディア開始
地域メディアの方もなんとかオープン。
まだまだ始まったばかりですが、コツコツと育てていくことで、自分のためにも地元泉佐野市のためにもなると思っています。
取材ライターとして学んだことや、ずっと続けてきた写真や動画とも相性がいいので、自分の持っている経験やスキルを全部使っていきます。
事業計画の大幅軌道修正
1ヶ月の総まとめである事業計画。
いなフリで学んできたことを生かして、今後自分がどう生きていくかを発表する大事なものです。
これについては最初と最後でかなりの変化がありました。
もともとボクは複業農家として、農業・WEBからの案件・拠点作りの3本柱を事業として考えていました。
農業は事業継承しながら家族とやっています。
WEB案件は、動画制作にシフトしたおかげでとりあえずなんとかなりそうだし、地域メディアもスタートできました。
問題は拠点事業です。
拠点事業については今現在実家で所有している土地と建物を使うつもりでした。
それらを利用したレンタルスペースやコワーキング、ゲストハウスなど。
実際に保健所や消防署とも話をして、具体的に行動も起こしていました。
当たればかなりの収入も見込めるけど、クリアしないといけない問題も多い。
初期投資も少なからずかかってくる。
ずっとやりたいことではあるけれど、決定的なアイデアは思いついていませんでした。
そのことを正直に統括のクラさんとも話してみました。
そこで言われたことが
「ムリに事業化しなくていいんじゃないですか?」
え?
「とりあえず、今はその場所で徹底的に遊びまくればいいんですよ」
その言葉を聞いて、今まで悩んでいたことがウソみたいに消えてしまいました。
確かにムリヤリひねり出して取り繕ったアイデアなんて誰も楽しくないよね。
いつの間にか手段が目的化してたんです。
ずっと気をつけていたはずなのに、自分のこととなると分からないもんなんだなー。
四国ツアーに行った時に
「コミュニティや拠点作りは時間がかかる。仕事じゃなくて、遊びの延長線上でやるくらいでちょうどいいんだよ」
「初めからハードを作るから失敗する。まずは人やコンテンツなどソフトの部分を育てて、必要になった時にハードを整備すればいい」
という話を聞いていたことも大きかったです。
1ヶ月積み重ねてきたことがつながった気がしました。
色々やってみて、必要そうならその時に事業化すればいいんです。
そういう意味では中止というよりは無期限延期みたいな感じですね。
いなフリ1ヶ月の成果
いなフリの1ヶ月で具体的にやったことをまとめてみます。
- 動画編集 15本(納品額26,500円・受注額51,000円)
- ブログ記事 8本
- 地域メディア 立ち上げ
- 取材 2本
- 18日間夕飯作り(Instagram更新)
- Twitter毎日更新(動画付き)フォロワー50人増
- 事業計画
- (高知県・徳島県視察)
まったくやる予定ではなかった動画編集に1番時間を使うという結果に。
その分成果は上がりました。
1週目でいろんなことに見切りをつけて、動画に選択と集中できたのがよかったなぁ。
ライティングは自分の得意な方を見つけられたものの、執筆スピードはなかなか上がらず。
書きたいことはどんどん増えていくのにー!
これからの課題。
受講生でありながら料理人としても1ヶ月やり通せたのはかなり自信になりました。
差し入れでもらえる鹿児島食材を余らせないように調理していくことが多かったので、アドリブ力がかなり磨かれましたねぇ。
作った料理をみんなに食べてもらってすぐに感想がもらえる環境は最高。
ボクが食のテーマに掲げている「地産地消」を体現できました。
地元食材を使ったメニュー開発もできたしね!
カメラの練習も兼ねて、料理の写真をInstagramにアップするというのもやってみたけど、イマイチしっくりこず。
インスタむずいよインスタ、、、
その分、twitterはコツコツ更新。
特に毎朝欠かさず「1分間スピーチ」をやり続けて、すっかりルーティーン化しました。
おかげでフォロワーがいなフリ中に50人ほど増えて800人を突破(その後、少し減少)
何より自分が本当に納得できる事業計画が作れたのが大きい。
もちろんまだまだ完璧ではないのでさらに磨きをかけていきます。
全体を通しての自己採点は80点!
まとめ「いなフリ」とはなんだったのか?
いなフリとは「フリーランスとしてのあり方」を学ぶ場でした。
細かい作業的なことって、人それぞれで正解はない。
だからこそ大切になるのは「どうありたいか」
すべてはそれを実現するための手段でしかないんですよね。
フリーランスの先輩である運営陣がそれを身をもって示してくれるのがいなフリ。
そこから感じたものを自分なりに解釈して、こうじゃないかってヤツをぶつけてみる。
それに対してまたフィードバックがもらえる。
課題を見つけて試行錯誤していくには最高の環境。
逆にいうと決まった課題もないので、自分から動かないと何も起こらない。
ダイヤを磨くのはダイヤっていうように、人間で人間を磨いているようなもんですわ。
全力に対して全力で返してもらえるなんてありがたすぎるよね。
だからこそ、ひとりじゃ絶対出せない答えが出せる。
最後の成果発表はめっちゃ緊張したけど、今この時点でのすべてを出し切れたと思ってます。
真剣に聞いてくれる人がいてくれたからこそできたこと。
ちょっと泣きそうになった、、、
もちろん、講義やワークなどマジメな時間だけじゃありません。
初めての鹿児島頴娃町を観光したり、地元の人と交流したり。
お酒飲んでいる時とか、夜シェアハウスに帰る時とかに突然始まる人間同士の話の深い話もエモすぎでした。
ここには書けないですけど!
いなフリ出ると人生変わるって言われるけど、ボクの場合はムダなものが削ぎ落とされて洗練された感じ。
ひとりで試行錯誤してたら1年くらいかかりそうなことを1ヶ月でやれたわけですから。
人生の時間と労力をめちゃくちゃ節約できています。
今のボクに迷いはありません。
あとは積み上げていくだけ。
この感覚が持てただけでも受講したかいがあるってもんですよ!
それにもしこの先困難にぶち当たっとしても、今この瞬間も別のところでやりまくっている人がいると思うとがんばれます。
そういう仲間ができたのが最高の収穫。
次は一緒に仕事できるくらいまで修行してきます。
というわけで、超個人的いなフリレポートでした。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
最後にもう一言だけ。
ありがとう、いなフリ!
おわり