3月30〜31日の1泊2日でCCラボ主催の視察ツアーに参加してきました。
今回の目的地は高知県嶺北と徳島県神山町。
どちらも山間部の限界集落地域にありながらも、独自の施策を打ち出し元気な田舎として有名な場所です。
ボク自身、数年前から気にはなっていたものの機会がなく、やっとのことで行くことができました。
もくじ
山奥の街に若者が集まる場所がある
1日目は高知県嶺北を視察。
この地域にある大豊町は「限界集落」という言葉が生まれた場所。
全国でもトップレベルの高齢化率だそうです。
そんな嶺北を拠点に活動されている団体ひとまきの代表である矢野さんが本日の案内人。
まずは、拠点の一つである「ハヤシハウス」を訪問しました。
元々は郵便局として使われていた建物で、なかなか趣があります。
1階は改修されていますが、2階はほぼそのままだそうで。
この場所はマキワリプログラムという1週間滞在型住み開きの体験施設として使われています。
窓から広がる景色を眺めながら自分を見つめ直すにはぴったりの場所でした。
暮らして学ぶシェアハウス「わんく」
車で移動して、去年オープンしたばかりのシェアハウスわんくへ。
めっちゃきれい!
1階は自由に仕事やイベントができるコミュニティスペースになっています。
キッチンやトイレも最新式で使いやすそう。
ご飯をみんなで作って食事会をしたりもするそうです。
2階が個室なっていて、それぞれのパーソナルスペースもしっかりしています。
ロフトもあったりしてかなり広い!
全面、木で作られており温かみが感じらるなー。
ここは1年限定で滞在できるシェアハウス。
共同生活を送りながら自分の行き方を作っていく修行の場でもあります。
NPO法人ひとまきの活動
早速、わんくを会場に矢野さんからお話を聞きました。
ヒトマキの変遷から、これからやりたいことなどなど。
気になったキーワードをいくつか抜粋。
- 生き方に迷う若者が希望を持てる社会を作りたい
- 若者が元気じゃないと街が元気にならない
- コミュニティの成長段階に応じて、必要な施設を作る
- 田舎で自分がやることの意味を見つける
- 個人の好きや得意を仕事にすることをサポートしていく
約3年の活動でのべ3000人以上の若者が嶺北を訪れ、30人以上が移住したそうです。
決して交通が便利なわけでもないこの場所にそれほど多くの人が集まっていることに驚きました。
1度この場所に滞在した人は、嶺北が故郷のように思えてきて、事あるごとに戻ってきてくれるそうです。
いつでも帰れる場所がある。
それだけでもすごく勇気付けられることですもんね!
最近では移住者たちが自らプロジェクトを立ち上げ、仕事を生み出し始めているそうです。
たくさんお金をあるわけではないので、コミュニティにいる人同士がアイデアや力を出し合い、新しいものを作っていく。
小さなことかもしれないけれど、自分の力で生み出す経験は何物にも変えがたいものです。
今後は、嶺北だけでなく全国の同じような活動をしている場所を繋ぐネットワークを作ったり、海外にも拠点を広げていきたいとのこと。
ますますおもしろくなっていきそう!
地元住民が運営する宿「清流館」
夜は清流館で懇親会。
廃校になった学校を転用した宿泊兼体験施設です。
夕飯はみんなでバーベキュー。
バーベキューの圧倒的火力! pic.twitter.com/gAUXHXHDVQ
— 六角人@晴耕雨webな複業農家 (@rokkaku0506) March 30, 2019
土佐の赤牛もいただきました。
脂はきつくなく、さっぱりしているのに肉の旨味は失われていない。
放牧しながら健康に育てているので、体にもよいらしい。
他にも、鶏肉がすごくジューシー。
厚揚げを焼いて食べるのも、高知ならではでおもしろい。
その土地の食文化に触れられるのもツアーのいいところですね。
ひとまきのメンバーである宇野さんはみりんソムリエとしても活動されています。
その知識と経験を生かし、地元の食材を使った商品開発などを手がけているとのこと。
同じ食にたずさわる人間として共通する部分も多く、興味深かったです。
例えばみりんは毎日のように使っているけど、意外と何にも知らない。
知ってました?
みりんってもともと、飲み物なんです。
宇野さんの家には30種類ほどのみりんがあり、その中からオススメの2本を試飲させてもらいました。
(酔っ払っているので写真がブレッブレになっております。すいません・・・)
初めて飲んだけど、紹興酒みたいな感じでめっちゃうまい。
甘めでまろやかな飲み口なので女性でも飲みやすそう。
いやー、またしても新たな食材のポテンシャルを知ってしまったな!
これだから旅はやめられんのよ。
2日目の朝
朝起きて近所を散歩。
川の水が透明度がすごい。
夏なら間違いなく飛び込んでるな。
と思ったら、ジャブジャブと川に入っていく猛者がいる。
写真じゃ伝わらないけど、めっちゃ冷たいから!
(意を決して川に入ってみたものの、あまりの冷たさに動けなくなるCCラボ運営であり今回のツアーを企画してくれたてぃむ)
地元のものが味わえる朝市へ
清流館の管理人さんに紹介されて、近くの道の駅で行われている朝市に立ち寄りました。
地元食材を使った山菜ピザや炊き込みご飯などを地域のお母さんたちが販売されていました。
芋天がシンプルなのに、めっちゃ甘くてうまい!
まさに最高の朝ごはん。
いざ、徳島県神山町へ!
車を走らせ一路徳島県神山町へ。
NPOグリーンバレーで長年活動されてきた大南さんからお話を伺うことができました。
お話を聞くまでは、元々村づくりの計画があって今の形になったのかと思っていましたが、まったく違いました。
ちょっとしたきっかけから、一部の地域住民が自分の周りからできることを始め、そこに様々な偶然や人の繋がりが組み合わさって、少しずつ大きくなってきたんです。
そんな活動の中で常に合言葉のように言われているのが
- できない理由より、できる方法を!
- とにかく始めろ(Just Do It!)
この言葉のおかげで、30年近く続いている活動にも関わらず、いまだにフットワークの軽い活動ができているそうです。
特に初めの頃はアイデアキラーと呼ばれる「過去の失敗を例に挙げながらアイデアを破壊する人」も多かったそうです。
新しいことをしようとすれば様々な課題にぶつかるのは当たり前です。
変えられないことを議論しても仕方がない。
課題は前提条件として捉えて、できる方法を考える。
そして実行に移す。
一気にすべての問題を解決することなんてできません。
結局はこういう泥臭いことの積み重ねを続けることしかないのだと強く感じました。
そして、そこで大事になってくるのが「人」
どれだけすばらしいプロジェクトがあったとしても、実際にやる人がいなければいつまでたっても実現なんかできません。
神山町では移住者を募集する時もただ集めればいいとは考えていません。
- 「創造的過疎」による持続可能な地域づくりを目指す。
- 人口減少は避けられないことなので、過疎化を受け入れ人口の中身を変えていくようにする。
- 求める移住者は「仕事を持った人(仕事を作り出せる人)」「場所を選ばない事業者」
- 若者や創造的な人材を誘致して、多様な働き方が可能なビジネスの場を作る。
こういった方針のもと人々が集まることで、田舎にありがちな「仕事がない、雇用先がない」という問題も解決されます。
街の方から将来に必要と考えられる「働き手」や「起業家」を逆指名して誘致することでさらにこの流れを加速させているそうです。
可能性が感じられるから人が集まる
現在では空き家に移住してきた人が事業を始めるというのが珍しくなくなりました。
そして、事業同士が有機的につながり、その様子を見た人がさらに移住してくるという、好循環が生まれているそうです。
さらに移住者の姿に触発されて自ら事業を始める地元の人まで現れ始め、地域内で経済が循環するようになってきたとのこと。
地域創生というと外からお金を得るみたいなところを意識しがちですが、そこに住んでいる人たちの輪の中で経済圏が成立するのはすばらしいことだと思いました。
でもこれって、昔は普通のことだったはずなんですよね。
東京一極集中から地方分散の時代へ。
1度は失われかけたことに今価値が出てきているというのがおもしろいところです。
必要なのは「地域に可能性が感じられる状態」
可能性が感じられるから人が集まってくる。
もちろんいざ住んでみたら合わないという人もいるだろうけど、それはもう仕方がないわけで。
良いとか悪いとかじゃなくて、合うか合わないか。
共感できる人が作り上げていく街だからこそ、みんなが幸せに暮らせるんじゃないでしょうか。
仕事じゃないから続けてこられた
最後の方で印象的な話がありました。
「どうして神山町は成功できたのか?」という質問に
「仕事で始めていないから」という答えが返ってきました。
仕事じゃないから成果を求められない。
趣味の延長線ぐらいのノリ。
しかも仕事じゃないから期限もない。
「こういう街になればもっといいよね!」というのが発想の原点。
自分が好きなものを丁寧に作っていくからいいものができるし、他のことにも影響されにくい。
話を聞いたり、実際の活動を見たりしていてもみんな楽しそうなんですよ。
やらされている感じの人が全然いない。
みんな自分の身の丈にあったところからスタートして、小さいところから変えていく。
アイデアを他人任せにせず、自分ごととして実行している人ばかりなんですね。
だからみんな生き生きとしていてカッコいい!
そりゃあ、そんな姿を見たら、自分もそうなりたいってなるよね。
楽しそうなところに人は集まるんですよ、やっぱり。
CCラボ「嶺北〜神山町ツアー」まとめ
高知県嶺北と徳島県神山町。
2つの街を巡ってみて感じたのは、場所ややり方は違っても、大切なところは変わらないってこと。
当たり前だけど、大切なのは「そこにいる人」なんですよね。
よく地方再生で箱物を先に作っちゃうようなパターンあるけれど、そこで生活をしたり働いたりする人がいなければまったく意味がない。
まずはソフトである人が集まって動き出して、そこに必要なハードである施設が立ち上がっていく流れが大切。
ひとまきの活動はまだ始まって3年ほどだけれども、このまま続いていけば神山町みたいな大きなが流れになる、そんな気がしてなりませんでした。
神山町だって今の状況になるまでに30年かかっているわけですから。
目先の結果にとらわれず、長い目で継続していける地域を作る。
それこそが、地方を基盤に活動していくために絶対に忘れてはいけない考え方なんだと痛感しました。
お忙しい中、貴重なお話を聞かせてくださった、矢野さんを始め嶺北の方々。
神山町の大南さん、砂田さん。
本当にありがとうございました!
そして、一緒にツアーを回ってくれたCCラボの皆様。
ホンマに楽しい旅でしたね!
また行こう!
CCラボについて
今回のツアーを企画してくれたのは
「CCラボ(コワーキングコミュニティラボ)」
視察ツアーだけでなく、コミュニティに関する情報交換なんかもやってます。
興味ある方はぜひのぞいてみてくださいね!